2013年11月27日水曜日

北川フラムさんの「アートの地殻変動」出版 (発行:美術出版社)

 北川フラム著「アートの地殻変動」

美術出版社発行の北川フラム氏の対談集が発刊された。

序文で北川氏は、
「自分が社会とかかわれる場所はどこかといえば、働いている場所、仕事で関係している場所、もしくは住んでいる場所だろう。リアリティを持ってかかわれる場所にしか実態はない。だから具体的な土地にかかわる以外の運動や連帯はできないのが僕の基本だ・・・・・」と述べている。

「大地の芸術祭2000」以来、妻有地域の野外や空き家などを使ってのアートプロジェクトを開催。昨年の「大地の芸術祭2012」まで5回にわたって、アートを媒介にして地域の活性化に取り組んでこられた北川氏の行動の原点、そしてその間に学んでこられた事を知るのには欠かせない一冊ではないかと思う。それまでのアートに関しての一般的な価値観からの変更を迫られるのは、25人の様々なジャンルの表現者たちが地域や社会との関わりを通してどう表現し、いかに表現者本人が変わっていったか、というリアルな体験をもとにしているからだと思う。

地域に対して、いいも悪いも含め、自分がかかわれる実態に対してしか地に足がついた活動や表現をすることが出来ないという考え方は、都市化・バーチャル化が進んだ時代に対する文明批評でもある。

私自身も北川氏がディレクターをされたいくつかの芸術祭に関わらせていただき、ほとんど旅人の視点ではあったが、「地域」に作家がどんな風に関わり、「作品」を作っていくかということを皮膚で感じることが出来たような気がする。

表紙の写真は昨年の「大地の芸術祭2012」の会期中に中村撮影(松代農舞台のカバコフの作品を背景として)